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大和和紀 ヨコハマ物語×大佛次郎の横濱

台風が近づくなか、関東は大丈夫と勇んで行ってきました。…生原稿なんて、なかなか見られるものじゃないですしね。

ヨコハマ物語とは

ヨコハマ物語とは、大和和紀先生の代表作の一つです。その内容は…。

時代は明治。身内を亡くした卯野は、有力者で以前から何かと世話をやいてくれていた叶屋の主人に、横浜の家に来るように言われる。同じ年頃の娘の傍付きとして働く代わりに、生活を保証するというのだ。が、娘の万里子はかなりのお転婆。周りが手を焼いてる程なのだが、何故か卯野とは意気投合。二人は文明開化の香りがする横浜で様々な人と出会い、色々な経験をしていく。中でもアメリカ人夫婦が運営していたシモンズ塾での経験は、国際色豊かで二人の人生に強く印象づけるものだった。そんな中で、万里子は隣人で幼なじみの森太郎と思い合う仲に。卯野もまた森太郎を想っていたが、身分の違いなどを慮り、諦めようとする。だが、医者になるために森太郎がアメリカへ留学した後、事態は急変する。叶屋の商品が嵐の為にダメになってしまうのだ。また、その嵐で主人も亡くし、叶屋は商売が苦手な万里子の兄が継ぐ事に。卯野はその兄に求婚されるが、断ち切れない森太郎への想いに悩む。また、万里子も窮地の叶屋を救った新進の実業家、竜介に請われ、求婚される。万里子はその時卯野の気持ちを初めて知り、卯野をアメリカに行かせる。そして自分は請われるままに竜介と結婚するのだった。初めは竜介に反発し、嫌っていた万里子だが、その生き様、実業家としての才能、不器用に自分を想う姿に惹かれていく。一方卯野もまた、森太郎と再会し、医者として活動する傍らで看護師としてサポートし、かけがえのない存在になっていく。そして、留学期間を終え、日本に戻った二人は…。

ヨコハマ物語の魅力

二人のヒロインがとにかく魅力的です。ハッキリと気の強さがわかる万里子もですが、卯野もまた芯の強い女性です。「散切り頭を叩いてみれば文明開化の音がする」という時代。女性の社会進出なんて…の時代に、二人は自分の生き方を見出そうとします。大切な人の半歩後ろを歩くのではなく、隣に立ち、同じ目線で世界を眺める…竜介や森太郎も彼女達の生き方に賛同し、共に歩く事になっていきます。…今の世の中でもまだまだ…なのに革新的な考えのキャラクター。この作品が発表されたのは昭和50年代…バブル期直前で、結婚したら専業主婦…が当たり前の世の中で、こういう作品を描けるとか、本当に凄いです。

そして、もうひとつの魅力が、明治期の開港期のヨコハマが舞台であること。みなとみらいや横浜駅付近の現代的な風景も良いですが、ヨコハマといえば今も現存する、異人館。異国情緒溢れるその建物達が建てられた時代…華やかな鹿鳴館の空気…。細やかで繊細なタッチで描かれるそれらがまた美しいのです。

いざ、展示へ

今回、期間が3つに分けられていて、その中で私が行ったのは三回目の、最終回の原稿が展示されている時。

最終回…竜介が乗った船が嵐に巻き込まれ、生死が不明のなか、気丈に振る舞う万里子。生まれたばかりの娘を見ずに死ぬわけはない、と探していると…という、ドラマチックな展開。今はマンガ原稿もデジタルなので、完成した原稿もスッキリ…なんでしょうが、アナログで書かれた原稿の生々しさは、息遣いも聞こえるようです。ベタとか印刷すれば真っ黒ですが、筆で塗るのでそのタッチが分かるのですよ。細かい着物のデザインはスクリーントーンかと思ったら、手書き…とか。マンガの演出で使われるカケアミとか…凄いです。もちろん大和和紀先生だけじゃなく、当時のアシスタントさんたちの技術なんでしょうが…。そして、マンガ原稿だけでなく、カラー原稿も。大和和紀先生のカラー原稿…大好きなので、じっくり堪能させていただきました。

今回は大佛次郎記念館で開催…だったので、大佛次郎の展示物もそれに合わせていました。…すいません。大佛次郎といえば、鞍馬天狗とか赤穂浪士とか、時代劇のイメージが強くて…文明開化的なオシャレな話を書かれてるとは知らず…不勉強ですな…。開港当時の横浜の様子を描いた原稿や、当時にゆかりの品々などが展示されてました。

異国情緒を目と舌で

このまま帰るのも…と、周りを散策。大佛次郎記念館は港の見える丘公園にあるので、まずは公園を散策。

そして、近くの洋館に。イギリス館では、ピアノの発表会をしてました。涙そうそうが聞こえてきたり…ヨコハマで沖縄を感じて…(笑)。

お隣の山手111番館も素敵な洋館でした。

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山手111番館でちょっと雨宿り。

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えの木ていでは美味しいサンドウィッチとケーキに舌鼓。

我が家の運転手は、なれない元町の交通ルール(侵入禁止だの一方通行だの…)に四苦八苦してましたが、楽しいドライブでした。

帰りしな、秋葉原に寄っていたら、台風の影響で土砂降りになったりしましたが。

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駐車場出たら凄い雨(; ゚゚)。

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