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科白劇 舞台『刀剣乱舞/灯』綺伝いくさ世の徒花 改変 いくさ世の徒花の記憶

※”綺伝いくさ世の徒花”に訂正線あり

さすがにチケットはとれなかったんで、ライブ配信を鑑賞しました。コロナ禍の状況で、そのマイナス部分をうまく利用し、見事に舞台として成り立たせていたのがすごかった。
以下、観た感想なぞ。
(ネタバレな内容も含まれるかと思いますのでご注意を)

ざっくりあらすじ

歌仙達が本丸で作業をしていると、別の本丸で起きた慶長熊本の内容を記載した本を見つける。そこにある内容は、自分たちが経験したものとは異なったもので、皆が興味を示す。
「世の中に絶えて桜のなかりせば 
   春のこころはのどけからまし」

そんな和歌と共に政府管理官からの指令が本丸に届く。
場所は慶長熊本。歌仙兼定を隊長にした部隊は、その指令に言われるがままに向かう。そこは歴史が改変された次元…。熊本はキリシタンが支配する場所となり、時の権力者に歯向かい、当主である細川忠興も消息が不明となっていた。
忠興の代わり、支配していたのはガラシャ…忠興の妻だった。
だが、そのガラシャもなぜか刀剣男士の地蔵行光と共に消息を絶ち、彼女を頼りにしていたキリシタン大名も行方を追っていた。
そんな中で、指令を送ってきた古今伝授の太刀から状況を知らされた歌仙達は、地蔵がなぜそんな行動に出たのか、キリシタン大名たちの意図はどうなのか、そして当主であった忠興はどうしているのか…調査をしていくうちに、見えてこなかった真実が浮かんでくる。そして、それがすべてわかった時、忠興とガラシャの哀しくも美しい愛を知り…。

慶長熊本

原作ゲームである刀剣乱舞をやったことがある人なら、少し前に苦戦した「特命・慶長熊本」…を思い起こせば、どんな感じだったか分かるかもしれません。あらすじはまさにこれ。まあ、熊本といえば、細川だし、歌仙は忠興の刀なので、このチョイスになるのですが。
特命は山姥切の江戸からこれで4回目になるのですが、他に比べてストーリー性が高いものだったので、舞台にはしやすかった…でしょうが、そこは刀ステ。
…複雑かつ、色々…見てる側の涙腺を誘う鬼畜話…。
なんでそんな話にしたんですかね…。ていうくらい哀しくて切ないお話でした。
そこはいいんですが…ゲームのトラウマまがいのマップ構成を思い起させる展開はなしでも良かったんじゃないかなあ…。何度もイラっとしたのよ、あの展開…。そういうところもまあおにちくですから…刀ステ。

ソーシャルディスタンス

今回、舞台事体どうなるか分からない状況でした。現に中止になった舞台もありましたし、この後開催される予定だった大演練も延期(ただし、控えの間という配信を当日行いますがw)になりましたし。
そんな中でどうするか。
客席を減らすとか、換気に気を付ける、とか、最前列などにフェイスマスクを装着してもらう…。そんな事だけでなく、大胆に構成を変えてきました。
タイトルは本来「綺伝いくさ世の徒花」でしたが、構成を変えるにあたり、そこに訂正線を入れ、「いくさ世の徒花の記憶」として、せりふと、ソーシャルディスタンスを保った位置からのパフォーマンスで舞台を作っていく形に。
それはかなり徹底していました。


更に、舞台刀剣乱舞の見せ場の一つ、本格的な殺陣はさすがにできない(ソーシャルディスタンス的意味で)い、近づいての動作はできない。
その克服は…講談師の起用でした。
迫真の殺陣、彼らがどう動いたのか、どう考えていたのか…講談師に語りをさせて現わすという斬新な構成。
初めて聞いたとき、え?っとなりましたが、これはこれであり、だと思いました。
ただの朗読では迫力がない。動きをもっと躍動的に、だけど距離を保って。
もちろんプロジェクションマッピングを利用したりするところもありましたが、動作の緩急、シリアスとコミカル…、ああいう表現を言葉で表すにはやはり、講談師が一番ではないでしょうかね。
一時は存在すら危うかった芸事ですが、最近人気の某氏のおかげで見直されているところに目を付けたのはさすがです。

宝塚歌劇団の威力

…って書くと何事??なのですが(笑)。今回、初めて女性のキャストが参加しました。慶長熊本なら細川ガラシャは必須ですからね。
そのガラシャ役に抜擢されたのは、七海ひろきさん。元宝塚スターさん。
まあ決まった時もざわついていましたが、実際舞台があがると…観た人の感想が「ガラシャの女になりました」…だったので、めっちゃきになりました(笑)。
で。
観たら。
…うん。まあ理解したよ。
という感想しかなかったです(笑)。
元々私は宝塚歌劇団のファンだし、七海さん…カイちゃんが出演した舞台も観劇しています。うん、当時もかっこよかったし。退団するって発表があったときも残念だなって…将来のトップ候補ポジだったし…。
で、退団後も頑張ってるなあって思っていたので、刀剣乱舞の舞台にでるってわかった時はちょっとびっくりしました。
さて、そのガラシャさんですが。初めは大人しく儚げな女性で、流されるようにキリシタン大名たちの御旗になっていましたが、地蔵行光と出会い、そして夫を思い、一つの結果を自分から導き出した時、心も姿も一変する…のですが、その一変後が…。
SNSのTLが「オスカル様」だとか「トート閣下」とか…みんな、そうなるよね、っていうくらい、美しかった…。
立ち姿も殺陣もすべてが見事。これぞ宝塚…。
すべて劇団で培ってきたものなんですよ…。いや、宝塚見てると、それが当たり前なんだけど、所作とか立ち姿、視線のやり方、最後の挨拶まで…。
だけど、外の舞台でみると、その完璧さがすごくて、まあ彼女の場合は若手の時からスターとしての立ち振る舞いだの、しぐさだのを強調させてきたから余計なんでしょうが…。その底力のすごさに、宝塚歌劇団の底力をみました。

そもそもの形で見たい

コロナ禍で、この形式になり、だけど、それはそれで最高に良かったです、が。
この作品の本来の形をいつか見たいですね。舞台刀剣乱舞らしい迫力の殺陣とかで。そのためには、この騒動が早く終息してくれることをいのるばかり…。
そして・・・舞台刀剣乱舞は来年新作上演も決定しました。

https://stage-toukenranbu.jp/

どんなものになるのか…今からドキドキですね。きっと、おにちくでしょうけど。