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三毛猫ホームズの推理

中学生の頃から愛読していた本を読み直しました。先日オススメ本リストを作ってた時、そういやぁしばらく読んでなかったのもあり、絶賛リピート中(笑)。え、積ん読ですか?まあ、そちらもおいおい…。←

あらすじ

ミステリーなのでさわりをざっくりと。警視庁一課の片山刑事は、柔和な顔といろいろ弱い(笑)ところもあり、「お嬢さん」と同僚からからかわれている。それは自覚しているから、刑事を辞めたいが、早くに亡くなった父親の遺志だ、なんだでズルズルと辞められずにいる。そんなある日、父の同僚で、上司でもある見たむらから、知人の大学教授の相談に乗ってくれ、と頼まれる。相談とは、勤めている女子大学の学生の買春疑惑。どうもグループ的犯行らしいのだが、真相を調べてくれ、というもの。片山はその相談に応じ、調査を開始する。だが、買春疑惑のある女子大生の猟奇的な殺人、不可解な盗難事件など、大学を巡る事件が続発。しかも、調査を依頼した大学教授まで、謎の死をとげる…。

三毛猫ホームズ

数ある赤川次郎のシリーズの中で、一番有名なものですね。この「三毛猫ホームズの推理」では、殺された教授の飼い猫だったのですが、教授が亡くなったあと、片山兄妹の所に居座るようになり(笑)、その後ちゃっかり飼い猫になります。そして、片山兄についていき、巻き込まれた事件の謎を解いていくという展開。片山兄妹達人間をワトソンよろしくこきつかい、謎を解くユーモアミステリー。シリーズもかなり出てるので、全部読むのは…大変だ(笑)。

オススメポイント

角川文庫版で、解説を寄稿された辻真先先生が「ホームズに不思議そうに尋ねるという珍しいシーンがでてくるのはこの作品だけ」と記載してましたが、そこがシリーズの中で、第一作目らしいポイントだと思います。次からは片山家の一員だし、推理していく様を不思議には思わなくなっていきますから。
ホームズの一番の通訳は片山兄ですが、刑事らしからぬ見た目、優しい性格というかヘタレっぷりが妹でなくても心配になります。ただ、優しいから、傷つく事もたくさんあり、この第一作は刑事として、男として、兄として、かなり苦悩させられてます。
そして、話のメインである事件。殺人だの盗難だの横領だの、とにかく次々に起きます。これでもか、という位殺人事件が起きます。いくつかは最初から連続殺人じゃないか?みたいな感じですが、とにかく謎解きギリギリまで事件は起きまくり…死体苦手だったはず…な片山兄も、冷静に事件現場を見ている位まで…。しかし、この点ばかりになっていた事件を畳み掛けるように解決していくのは通快で、細い糸で見事に織りだした1枚のタペストリーのような、そんな気分になります。

初期赤川次郎の傑作

やっぱり赤川次郎は面白い。初期の話で、かなり昔の話ですが、やっぱり面白い。どれだけ昔のかというと、私の持っている角川文庫の奥付の初版の日付が「昭和59年」…しょ、昭和( ºωº )チーン…。まあ、確かにそうなんですが、かなりショック…。…なのはとりあえず置いておいて、確かに昔な感じもありますが、今でも新鮮に読める、それが赤川次郎って感じですね。この時期に量産された本はこれからいくつか紹介していけたら、と思います。

赤川次郎の他のシリーズ

赤川次郎は沢山のシリーズがあります。ので、その中でいくつかを紹介しましょう。

爽香シリーズ

毎年9月に光文社文庫から発売されているシリーズ。9月になると、あ、買わなきゃ、と本屋で必ず探します。それも珍しいですが、シリーズタイトルになるヒロインが一冊ずつ、つまり毎年恒例一歳歳を重ねていきます。そして、タイトルに色がつくのも特徴。第一作では中学三年生だったけれど、今はアラフォーの子持ち。そのながい中で、事件に毎年巻き込まれているんですね(笑)。そして、だからこそただのミステリーではなく、一人の女性の人生を描いていたりします。が、最近、個人的にはイラッとします。いや、爽香自身は好きですが、旦那や親兄弟、恩師まで彼女を頼りにしまくるのが…。いや、ヒロインだし、そういう展開にしたほうがドラマにはなりますが、同世代だからこそ、なんでこの歳でここまで背負わなきゃならん、みたいな気持ちになります。

夫は泥棒妻は刑事

そのまんまですね(笑)。二人ともお互いの本業?を知っているし、その能力…?で事件を解しているからいいの…かなぁ(笑)。殺伐とした事件をユーモアと皮肉とウェットで解決してるので、さらっと読めます。

その他はまた機会があれば。

そういえば

一迅社から発売されている「バーナード嬢曰く。」というコミックをご存知でしょうか。本や読書についてのあるあるとか小ネタを面白おかしく描く読書コメディコミックなのですが。作者の好みか、キャラクターの設定ゆえか、SFの話や作家の話題が多いなか、4巻だったかな?に、赤川次郎ネタが。「サラッと読めて、読後感も充実していて、面白かった!…となるけど、内容は?と聞かれると、忘れている」…というコメントが…(笑)。た、確かに(笑)。面白いし、オススメするし、いい作品なんだけど、あらすじは?とかになると、あれ?みたいな(笑)。ただ、この三毛猫ホームズの推理とか、初期のはかなり記憶にあるから…多分、大量生産前のじっくり描いた話…だから…ですかね。この後、毎月のように新刊がでる、恐ろしい時期がありましたから…。うん、決して年のせいでは…ない…はずです(笑)。