中央システム株式会社

あつあつを召し上がれ

日本だけでなく、世界的に自宅で自粛の日々続く中、気持ちだけでも前向きに。こういう時は積んでいた本が沢山読める、とか、ポジティブに考えて乗り越えましょう。

あらすじ

数篇からの短編集。寝たきりの祖母が食べたそうにしていたかき氷。恋人からプロポーズされる時に食べたチャーハン、サヨナラする時に食べた松茸。結婚する朝に父と食べる味噌汁など…日常何処にでもあるようなエピソードばかりが食べ物を絡めながら描かれています。

お気に入りの話

そのなかで私のお気に入りの二篇は、チャーハンとお味噌汁の話でした。
チャーハンは、以前、恋人を事故で亡くした女性が、会社の同僚と付き合っているという設定でした。今の恋人は、彼女がそういう事情なのも知っていて、それでも傍で寄り添っていてくれた存在でした。そんな二人の共通の話は食べる事。そんな彼女を、恋人は幼い頃から行きつけの中華料理屋に連れていくのです。そこで、どうしても食べさせたい料理を注文します。そして、彼の亡くなった味道楽な父親が、ずっとお気に入りだったそれを美味しく食べる彼女にプロポーズをするのです。実はカナダに転勤になり、そこに着いてきて欲しい…。彼女が亡くなった恋人を忘れられないのも理解しているけど、これからも一緒に美味しいものを食べていきたい、みたいな。美味しいもの好きで、それこそ小洒落たレストランなんてよく行ってそうなのに、あえて、よくある街の中華料理屋さんで、しかもその好きの原点のお店で…とか、なんかキュンとしました。
お味噌汁の話は、母を早くに亡くし、父親に育てられた女性が、結婚式の朝に、独身最後のお味噌汁を作って食べさせる、というお話。母親は自分が早くに亡くなるのを自覚していて、その為に彼女に幼い頃から色々と家事を教えていて、中でも毎朝作るお味噌汁は厳しく教えられていました。最後のお味噌汁を作りながら、そんな事を思い出し、父親に食べさせながら、聞けなかった事…もし、自分を産まなければ、母は早くに亡くなる事はなかったのではないのか、を尋ねます。しかし…煮干しを丁寧に捌き、そこからダシを取って…とか、私…独身時代なにもしてないので、すご…って思いました( 笑 )。いや、まあ…料理なんて独身時代あまりやってないし…たまにお菓子作ったり…は…してた…けど(しどろもとろ)。お味噌汁も、出汁入りって書いてあるから大丈夫ってダシを入れなかったら、『 ダシ、入れてないでしょ?』と主人に言われた黒歴史まで思い出しました…。今は、ちゃんとできますよ、はい。

小川糸さん

小川糸さんといえば、個人的には『 ツバキ文具店』ですかね。鎌倉にある手紙の代筆を行っている、文具店の女性の話で、NHKでドラマ化されました。多部未華子さんが主人公役で、原作さんらしさかよくでていました。鎌倉の街並みや、近所の人、代筆を頼んできたお客様か穏やかに、みずみずしく描かれています。
めちゃくちゃドラマチックとか、凄いエピソードがある、って訳ではなく、かといって、飽きる事はなく、さらりと爽やかなんだけど、それが止められなくて、一気に読んでしまいまった記憶があります。
先日、「ライオンのおやつ」も購入したので、これから読まねば…。かの新井賞を受賞した作品で、本屋大賞にもノミネートされてる作品ですから、今から楽しみ。

★新井賞とは、日比谷コテージという書店の書店員さんである新井美枝子さんという方が、毎年芥川賞・直木賞の発表時期に、これは!と選んだ本に送られる賞です。新井さんは、以前は三省堂にお勤めでしたが、その頃から、『 本を売る』ことには伝説の方で。どうやったらこの本を売れるか、を熟知したプロフェッショナルです。その腕は確かで、彼女にプッシュされた本はベストセラーになり、作家さんからも信頼されてます。だから、賞金とかはなくとも、選ばれたら名誉なのは間違いないです。本当に新井さんが「面白い」と思った本ばかりなので、小説だけでなく、コミックがノミネートされることも。『 新井賞が小説だけとはおもうなよ』的なオビがついてましたね( 笑 )。

こういうご時世だからこそ

こういうご時世だから、家で退屈…なら是非、本を読みましょう。いや、本屋の回し者じゃないですけど。小説でもコミックでも、本から得た知識や教養、そして気持ちは、心を豊かに、穏やかにしてくれると思いますので。手前味噌ですが、私が読んだ本のレビューをいくつかリンクさせていただきますので、読書の参考にいかがでしょうか。