中央システム株式会社

オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る

IT業界のみならず、世界的にも有名な方の独占インタビューをまとめたものです。
考えかた、生き方…。色々と勉強させられる事が多いお話ばかりでした。

オードリー・タンが伝えたい事

本のオビに記載されていましたが、この本でオードリー・タンが伝えたいことはこんな感じでした。

・人間がAIに使われるという心配は杞憂にすぎない

・AIと人間の関係はドラえもんとのび太のようなもの

・デジタルが高齢者に使いにくいものであれば改良すればよい

・デジタル技術は「誰でも使える」ことが重要

・デジタルは多くの人々が一緒に社会や政治のことを考えるツール

・インクルージョンや寛容の精神は、イノベーションの基礎となる

・様々な学習ツールを利用して学ぶ生涯学習が重要になる

・テクノロジーで解決できない問題に対処するために美意識を養う

IT業界の世界的権威の型ですが、この本は「ITも大事だけれど、それ以上に大事なこと」を教えてくれる、そんなお話をしています。
ご自身の生い立ちから生き方、考えかたを詳らかにしていて、そこから本当に学ぶことが多いこと…。
その中で個人的に考えさせられることをいくつかピックアップしたいと思います。

AIが開く新しい社会

「AIはあくまでも人間を補助するツール」という考えはなるほどなあと思います。
AIは手段であって目的ではない。社会を豊かにするツールであって、それに支配されるものではない。
近未来のSFなどで、結局AIに支配されるような話も色々あったり…、それこそブラックジョークの話などではこういった結末を迎えるものが多いですが、それはフィクションの世界であり、実際はそうはならない。
また、「デジタルが高齢者に使いにくいものであれば改良すればよい」という話にはなるほどなあと思いました。
最近ですが、義父のコロナワクチン接種の予約をしたのですが…正直これを高齢者にしろというのは大変だろうなあと思いました。
教えてやってもらう…のも、結局「わからないからやってくれ」ってなりそうな、そんなシステムの内容になってました。
まあ自治体ごとに異なるので、たまたまそういうシステムの自治体になってしまったのかも、と思いました、が。
台湾では、このコロナ禍でオードリー・タンを中心に、マスクの販売の管理等をAIを使ってスムーズにしていました。日本では去年の今頃かなりの大騒ぎになっていましたが。
そして、そのAIも高齢者へのサポートもしっかりとしていたようで、周りのサポートをどうするか、どうやったら迷わず使えるか、を考えてのシステム構築がしっかりとされていたようです。。。。ちょっとうらやましい、ような。

プログラミング思考

都市と地方の学習格差問題解消としての「デジタル学習」…オンラインを利用した学習についても色々記載されていました。
こちらもコロナ禍で注目を浴びていましたが、日本ではなかなか普及していない…耳の痛い話ですが。
そして、興味や関心が見つからないのに大学に進学しても意味はない。自分に何が大切で、何を学ぶべきかを考えて、それを学べなければ、無駄に行く必要がないといった考えです。
また、科学技術では解決できない問題に対処する為に美意識を養う、とも。
美意識とは、一つの問題について、自分の考えを持つために様々な事を学ぶ、ということ。
それは自分とは違った見解について、否定からではなく、こういう考え方もあるのだと、柔軟な心で臨むことも大事だと…。耳が痛い話ですが、自分の考えに固執し、他者の意見に耳を貸さないことで、軋轢を生んでいることがしばしばあります。
そうなんらないためにも思考を柔軟に、常にフラットに考えられるように、美意識を持つのは大事だという話です…。肝に命じておこう…

学ぶべきこと

インタビューを本にしていますが、対話形式ではなく、話したことをそのまま文章にした、という感じです。…とても長い時間インタビューしたのかな、と考えてしまうくらい内容はとても濃くて深いものばかりでした。
自分の不勉強さも同時に考えてしまうくらいには。。。
また、オードリー・タン氏という色々な特異な背景を持つ人物の話はどれも興味深いものでした。
とてもユニークな家族環境と、恵まれた人間関係、そしてLGBT…トランスジェンダーであることは公表されていますが、その点も包み隠さず語っています。
そのうえで、マイノリティの考えにも耳を傾けるべきとはなしているのが印象的でした。
そして、それでもどこか冷静だけれど、相手に伝えたいポイントはとても大事に語っています。
親日…というか知日家でもあり、良い方向で日本の事もよくみていて、いいところも悪いところも的確に指摘しています。
台湾という国、そして、その内情もとてもフラットに話をしているのも印象的でした。
専門的な話もあり、また、なんとなく日本では避けてしまいがちな政治についても、自分の考えはこうだ、という事を話しています。
詳しくは…本をぜひ読んでください。
台湾と日本では、色々と違う所があるので、この考えかたすべてを取り入れるというのは難しい話ですが、ただ、学ぶべきことではあると思います。
特に最後には、日本に向けてのメッセージもあり、色々と思う事ができます。
このコロナ禍で台湾はデジタルをうまく活用し、流行を抑えることができています。
その中心にいた氏の話は、このコロナ禍の後でも、今後また同じようなことが起きたとき(もう二度と会ってほしくはないですが)の指針になると思いました。
。。行動にうつすのは難しいのですが。
そして…とても話が濃密すぎて、うまく伝えられないのが悔しいので…再度読み返したいと思います。