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エリザベート

帝国劇場で上演されている、話題の舞台を観劇してきました。今回もとても素敵でした。

あらすじ

黄泉の国ではある男の裁判が執行されていた。男の名前はルイジ・ルキーニ。罪状は「ハプスブルグ皇后エリザベートの殺害」。ルキーニは語る”主犯はトート(死)閣下”で”偉大なる愛”が動機だと。

エリザベートはバイエルンの貴族の娘だった。母のルドヴィカは姉であり、オーストリア皇帝の母であるゾフィー皇太后を頼りに、自分の娘ヘレネと皇帝フランツとの縁談を模索。バートイシュルでのお見合いのこぎつける。だが、皇帝はヘレネではなく、付き添いで共に来ていたエリザベートに一目ぼれ。エリザベートもまた、宮廷という場所を知らず快諾してしまう。これには、ゾフィーも困惑。更に、それより前、その美貌に一目ぼれしたトートも面白くなく、結婚式の最中に顕れ、エリザベートに告げる…最後に勝つのはこの俺だと…。

トートという概念に驚きながらも、エリザベートはその存在を忘れたかのように宮殿での窮屈な日々を送る。自由を愛すエリザベートには苦痛でしかないその中で、その美貌を役立て、活躍をしだす。特にハンガリーでの人気は高く、活動は更に広がっていく。だが、その中で長女のゾフィーが幼くして亡くなるなど、悲劇が起きる。すべてはトートの意のままに。だが、彼女はそれでもトートを拒む。

エリザベートの人気が高まり、ついにはハンガリー国王となったフランツとともに、戴冠式を行うなど、人気は最高潮を迎える。だが、その中で、宮廷内の実力者であったゾフィーが面白く思っていなかった。息子を取り戻すために、ほかの女で誘惑したり、エリザベートの生活に暗い影を落とす。そして、夫の裏切りに失望したエリザベートはあてどない旅に出かける。

そんな中、一人息子のルドルフは、父である皇帝に反発。ドイツ至上主義に傾く世論を心配し、ハンガリーとの繋がりを持ち、対立していく中で、結局反逆者として囚われてしまう。失意のルドルフに追い打ちをかけたのは、母エリザベートが自分を見捨てたこと。すべてに絶望したルドルフは自殺してしまう。

一人息子の死をきっかけに、さらなる放浪の旅を続けるエリザベート。フランツは帰ってくるように説得するが、それも拒否。そして、スイス・レマン湖の畔で、ルキーニの凶刃に命を落とす。そのとき、ようやく彼女はトートの愛を受け入れるのだった。

宝塚や東宝の定番ミュージカル

上演が決定すれば、絶対完売する作品なので、日本初演以降、何度も上演されています。日本の初演は宝塚。一路真輝さんのさよなら公演でした。…20年以上前…ってもうそうなるんだとびっくりですが。

何度か宝塚で上演し、帝劇で東宝ミュージカルとしての初演は19年前…。初演のエリザベートは一路真輝さんで、トートが山口祐一郎さんと内野聖陽さん。ルキーニが高嶋政宏さん、フランツ・ヨーゼフが鈴木壮麻さん。そして、ルドルフがデビュー作になった井上芳雄さん。CDが出たので、買いました…。

それから宝塚でも東宝版でも、キャストや演出が変わりながら、何度も上演されてきました。

進化し続けるミュージカル

エリザベートはオーストリアのミュージカルです。最近はブロードウェイやウェストエンド以外での話題のミュージカルを上演することがふえましたが、エリザベートはそのはしりですね。

宝塚も上演する組で演出が違い、初演の年、雪組と星組が上演しましたが、びっくりする位違います。「ミュージカル」として安定した歌唱力で盛り上げる雪組に対し、「宝塚」としてビジュアルの華やかさと色気が特徴の星組。私は星組を初日に見て虜になりました。…まあ、当時トップだった麻路さきさんのファンだったし(笑)。

東宝版もキャストにより、また上演を繰り返す度に演出が変わります。だから面白いんです。基本の流れが変わらないけれど、舞台装置が変わったり、衣装が変わったり。

あと、宝塚はいわゆる「すみれコード」があり、あまりあからさまな性的な話、政治的な話はオブラートに包みますが、東宝版はタブーなし。ルドルフが父と対立するシーンでは、東宝版は当時のドイツ系住民によるユダヤ人排除の動き…それを見た若きヒトラーがやがて…を暗示するかのようなハーケンクロイツをしっかり描いてますが、宝塚ではそこまで描きません。フランツの浮気発覚も、宝塚では写真に撮られて、それをエリザベートが見てしまった…みたいな。ゾフィーよりもトートが暗躍…みたいに描かれていたのに、東宝版は…仕事熱心で「職業病」を持つ娼婦から、皇帝が「職業病」をうつされ、さらに皇后に…でバレます。ええ、「職業病」…。

こうやって上演ごとに変化や進化が凄いのがエリザベートの魅力です。

今回の感想

今回は3年前のバージョンをマイナーチェンジしたくらい。いくらか曲調や演出が変わったりしてましたが。

で、今回のキャストがこちら。

エリザベートの花總まりさん。日本初演も彼女でしたが、今まさに円熟した魅力が。美貌は相変わらずで…アンチエイジングの方法を教えていただきたく(笑)。

井上芳雄さんのトート。清冽さの中にも、色気ムンムン(笑)。3年前も観たんですが、その時はまだ正統派というか、ただかっこよかっただけ…は、語弊ありますが、この数年の経験とかなんとか…があの色気を醸し出したのかも。

平方フランツは正統派。真面目で優しい皇帝陛下でした。初めてだったけど、ああ、母と嫁にふりまわされるよね、というのがよく分かる感じでした。

山崎ルキーニは、地味な衣装だけど華やかさがありました。ただ、相変わらず小道具は苦手(笑)。前回も小鳥のおもちゃをキャッチできず、勢いでコケて乙女座りになりましたが、今回は羽ばたかず急降下。ああいう演出だったのかしら(笑)。

涼風ゾフィーは歌唱力で圧倒。相変わらず素晴らしい声量…。そして…相変わらず…美しい…んですが、いや、自称妖怪は伊達じゃなく、おいくつに…なられたかと、禁断の質問をしたくなりました。

三浦ルドルフ…ある意味カレの為にこの日の観劇を選びました。…だって彼はアンクだから。もちろんほかのドラマとか出てますが、やっぱりアンクが印象深い…。最近はミュージカルでも活躍が目覚しく、ちょっと気になってました。繊細で神経質で儚げなルドルフ皇太子…ぴったりでした。

ルドルフといえば「闇が広がる」というナンバーがまず浮かぶ位の名曲があります。トートとのデュエットが美しい名曲ですが、宝塚と東宝版だと、高音と低音が逆。東宝版はトートが低音で、ルドルフが高音。井上くんのほうが声は高めなのですが、低音。うん、ちょっと不思議なコントラストでした。とても美しかったですけどね、見た目も歌声も。

私が観た回は貸し切り公演でしたので、最後に主演コンビのご挨拶が。

井上くん、最近テレビの仕事が多いからから、トーク力がアップしてました。怪しげトートの姿で爆笑トーク。そうね、公演が終わる頃にはe+がエンターテインメントプラスではなく、エリザベートプラスになればいいですね(笑)。

花總シシィは、ご挨拶も可愛い。ふわふわっとボケたら、トートに突っ込まれてました(笑)。あー、ミーミルちゃんの頃と変わらない可愛らしい笑顔…。

おまけ

初日のご挨拶がアップされてましたね。うーん。この世界観…。観た事ない方は是非一度。

…チケット難ですが、もう1回は観たいなぁ。