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チーズはどこへ消えた?

チーズはどこへ消えた?

2019年度新入社員研修の取り組みで、「課題本を読んでインプレを作成」がありました。その優秀作を紹介します。

スペンサー・ジョンソン著 門田美鈴訳(2000)『チーズはどこへ消えた?』 株式会社扶桑社.

内容紹介

『チーズはどこへ消えた?』は、ある迷路でチーズを探し求める2匹のネズミと2人の小人を描いた話です。

しかし、ただの物語ではありません。

この物語の中で描かれる「チーズ」が意味するものは、私たちが人生で求めるものです。たとえば仕事、家族や恋人、お金、大きな家、自由など、それは人によってさまざまだと思います。

私たちはみな、心に「自分にとってのチーズ」をいだいていて、それを追い求めているというのです。そして、「迷路」はチーズを追い求める場所であり、それは会社であったり家庭であったりします。

ネズミのスニッフとスカリー、小人のヘムとホーはチーズを探して迷路を冒険しますが、彼らのチーズに対する考え、行動はそれぞれ違ったものであり、その違いもリアルだと言えるでしょう。 ヘムのような人もいれば、ホーのような人もいます。

この物語を読み終えたときに自分はどんな人物になりたいと思うのか、また「自分にとってのチーズ」に対してどのような考え方をしたいと思うのか、そんなことを考えながら読むと新しい発見があるかもしれません。


なくなったチーズに囚われないこと

タイトルにもなっている「チーズはどこへ消えた?」は、本書の中で「ヘム」という小人がなくなったチーズを見たときに言ったセリフです。このセリフに続けて声を張り上げて、こう叫ぶのです。「こんなことがあっていいわけはない!」

ヘムはせっかく苦労して手に入れたチーズがなくなってしまったことが認められず、そのことを嘆いてずっとその場から動きませんでした。

どうしてこんな目に合うのか、この場で事態を見守っていればいずれチーズは戻ってくるのではないか。そう考えて、自分から行動を起こすことなくただ現実から目を逸らし続けたのです。

人生とは、変化の連続で出来ていると思います。しかし、時に私たちはその変化を受け入れられずにその場に留まろうとしてしまいます。

それこそ、チーズがなくなったことに心を囚われ続けた小人のヘムのように。現状を嘆き、責めることは非生産的なことですが、決してヘムを馬鹿にすることはできません。

私たちも変化してしまったことにショックを受け、受け入れたくないという気持ちから目を逸らしたくなってしまうことがあるからです。

では、どうすればなくなったチーズに囚われず、変化を受け入れていくことができるのでしょうか?

本書では、このように言われています。

「チーズは、つねにもっていかれ、消える」

チーズが永遠になくならないということはないのです。一度手に入れたからといって、その後ずっと手に入れたときのまま変わらず、自分の思い通りになるとは限りません。

仕事なら、望まない異動があるかもしれませんし、今は安泰といわれる職業でも将来的に需要がなくなるかもしれません。どんなに立派な家でも突然火事で焼けてしまうことや、大雨で浸水することだってあります。チーズに関して言えば、食べれば量は減り、また古くなったら味が落ちてしまうでしょう。

「チーズ」はいつかなくなるものであり、変化はいつか訪れるものなのです。そのことを受け入れられなければ、待っているのは破滅です。「私たちが人生で求めるもの」というのは、人生に必要なものであるということなのですから。

「なくなったチーズを嘆き続けるのではなく、新しいチーズを探しに行こう」

これが、本書の主題なのではないでしょうか。

つまり、変化は起きるものだと理解した上でそれを察知し、対応することが大切なのです。そうすれば、前向きに変化を受け入れ、その流れに乗っていくことができるでしょう。変化にすばやく適応したことで新しいチーズを発見し、その味を楽しめることになった小人の「ホー」のように。


まとめ

「チーズ」への考え方が変われば、自分も変わっていくことができます。従来通りの考え方をしていると新しいチーズは見つけられません。

もちろん、自分を変えるとき、新しいことに踏み出すときには恐怖や不安が伴います。しかし、「チーズが見つからなかったらどうしよう」ではなく「新しいチーズを見つけることができたらこうしよう」とそのチーズを楽しんでいる自分を想像してみることで、実現に繋がっていくのです。

変化に対する最大の障害は、自分自身の中にあります。新しいチーズを楽しんでいる自分を想像する、つまり変化を楽しみながら前進していけば、やがて道は開けていくのではないでしょうか。

『チーズはどこへ消えた?』は、これから起こる変化を恐れている人、変化を受け入れられないという人、いろいろな「変化」について悩んでいる人たちにぜひ読んでいただきたい一冊です。