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逃げ上手の若君

個人的に、なぜかジャンプ系のコミックは縁が薄いのです。昔は愛読してましがたが、最近はとんとご無沙汰…なので、最近の人気のコミックは、ブームが来ていても読んでないのです。
が、この作品は個人的に色々と気になっていて、連載当初から気にしていました。
いや、面白いですよ??面白いと思えるのは、私が鎌倉時代マニアだからであって、一般的にはなじみが超薄い鎌倉時代…いや、南北朝時代を選んだのか…。

どんなお話?

鎌倉時代末期、当時の得宗・高時の後継者である時行は、気ままに暮らしていた。いずれは執権として幕府を背負う身…とはいえ、まだ少年である彼にそんな自覚はない。
だが、そんな気ままな日々はあっけなく終わりを迎える。
時の天皇・後醍醐天皇の討幕に呼応し、幕府に仕えていた御家人たちも反旗を翻す。特に一番信頼を置いていた足利高氏の反逆により、一気に幕府は滅亡してしまう…。
父親である高時たちは自害し、兄は親戚筋を頼り逃げようとしていたが、その親戚から裏切られ、殺されてしまう。
そんな状況を見てしまった時行は、諏訪頼重という御家人を頼りに逃げ落ちていく。
彼はこれから激動の時代を逃げのび、天下人の命を狙う時の人となっていくのだった。

中先代の乱

お話はちょっとファンタジーのような、空気もあるので、少し変わった雰囲気を持っていますが、基本は歴史もので、内容は忠実なものになっています。
時行はもちろん実在の人物です。コミックにある通り、得宗―執権北条一族の本家―の跡継ぎになります。
そして、幼い時に幕府滅亡を経験します。
けれど、その血筋を残すべく、家臣の諏訪頼重により、逃げ落ちます。そして、北条家再興のため、立ち上がり、戦を起こし、一時的に鎌倉を取り戻すのですが、この戦いが中先代の乱といいます。
中先代とは、執権・北条氏(先代)と戦国時代の後北条氏(後代)の間、という意味だそうで…。
以下、物語にはネタバレになってしまいますが。
一次的に鎌倉を奪還しますが、尊氏に敗れ、再び逃げることに。
そして、尊氏と対決すべく、南朝に合流していくのです…。その結末については、最近本がでましたので、是非に(←なぜか宣伝)

…先日購入しましたが、まだ読んでいないんですよね…。

今後の展開が楽しみ

鎌倉時代好きなので、彼がこれからどうなるのか、という”歴史の流れ”走っています。が。ジャンプテイストがはいっていて、時々コメディ…否ギャグ展開になり、ハードな展開で暗くなりそうな内容を楽しく盛り上げてくれます。
というか…登場人物たちが個性的すぎて…なんというか…色々突っ込みたくなります。
頼重さんとか…ちょっと…面白すぎて、どこから突っ込んでいいやらな感じです。
一言でいえば「ヤバい人」(笑)。まあ、どこがどう「ヤバい」のかは、コミックで確認してください。とても愛すべき「ヤバい人(笑)」です。

そして、尊氏という最大の敵にいかに立ち向かっていくのか。
今後、この史実をどう料理していくのか、本当に楽しみです。
既刊の2巻では、無事に諏訪の領地まで逃げ切り、都では後醍醐天皇と足利高氏が接触、急接近していっています。
…まあ、後醍醐天皇と高氏も…ねえ…もごもご。
2巻だと、まだ物語の始まりなので、

このコミックでどこまで描くのか…時行の行く末を知っているから、ただの英雄譚にはならないと思っていますが、それが楽しみであります。

こちらもオススメ

この時代の話、中々物語として作品にはなっていない…のですが。
実は少女コミックではすでに題材にしていました。

1992年に刊行されたコミックです。多分古書店でないと扱いがないかもですが…。
こちらも時行がメインです。いや、書き手が違うとこうも違うのか…と。
このシリーズは鎌倉時代のお話を扱っていて、すべて面白いです。

そういえば、以前こちらを紹介していましたね。

こちらは鎌倉幕府滅亡の話ですが、時行のような傍観者ではなく、滅亡の時に当事者となっていた人たちの物語です。
来年は大河ドラマで鎌倉幕府です。ので、この時代がもっとスポットライトが当たっていて欲しいですね。まあ大河ドラマは幕府が開かれる話で、時代が150年違いますが(笑)。