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昭和天皇物語

この題材は令和になった今でも、ちょっとセンシティブで触れるのが難しい話ですが、日本人としては忘れてはいけないし、考えていかなければならない事が描かれていくので、フラットに紹介していこうと思います。

あらすじ

時代は明治から大正へ。廸宮裕仁親王は「御学問所」で英才教育を受け、多感な青春時代を送っていた。
一方、世界は第一次世界大戦に突入。一気にきな臭くなっていく。また、国内では、裕仁親王の父である大正天皇を中心に政治がおこなわれていたが、もとから病弱ゆえの不安が拭えないでいた。
やがてそんな大正を支えるべく、裕仁親王は摂政となる。海外への視察、そして摂政としての公務など多忙な日々を送る裕仁親王に、結婚の話が持ち上がる。いずれは天皇となる立場のため、お世継ぎを早くといわれるが、その話も政争の種となってしまう。そして、東京を壊滅させた関東大震災、大正天皇の崩御など、混乱のなか、天皇へ即位。元号も昭和に変わり、騒然となる世情のなか、陸軍の力が強まっていく。。。

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激動の時代

段々「平成生まれ」が会社内の社員のパーセンテージを上げていっている中、すっかり昭和というと「過去」とか「レトロ」といった時代になっていますし、この物語の主人公である昭和天皇となると、写真でしか見たことがない、といった人も増えていますよね。私も昭和天皇というと、訥々とお話しされる好々爺みたいな方、のイメージがとても強かった。
ただ、大正から昭和初期は、激動の時代で。
そしてまた、その渦中にいた昭和天皇という存在が、今もこの話をするのがセンシティブにしている原因であったりします。

大正時代

私の中の大正時代というと、どうしても「はいからさんが通る」ですね。大正浪漫とか、どちらかというと文化のほうがイメージが強い。ですが、この時代、世情も落ち着いていなかったんですよね。
第一次世界大戦、ロシア革命といった外憂、物価上昇による米騒動といた内憂…。まあそのあたりの知識も、最初に知ったのは「はいからさんが通る」からですが。
このコミックは、そんな大正時代をその中心にいた人の視点から描いています。
特に、維新から新時代を築いていった明治天皇や激動の時代を駆けた昭和天皇の間で、どうしても存在感が薄い大正天皇、そしてその一家の話が描かれているのが面白いですね。
昭和天皇のご兄弟で、現存されておられるは、三笠宮様のみで、今はスポーツ関連のタイトルなどでお名前を見かける秩父宮、高松宮といったお方の話も…。
体が弱く、晩年はほぼ寝たきり状態だった大正天皇。
天皇としての矜持、父親としての面…。
実際の大正天皇がこのコミックような方だったのかはわかりませんが、色々複雑な気持ちになります。

政治も命がけ

今はそんな事は皆無に等しくなりましたが、この時代、政治をするというのがとても命がけでした。
コミック内でも、原敬や浜口雄幸といった総理大臣が暗殺されています。
原敬の暗殺は日本史でも取り上げられたりもしますが、単に「暗殺されました」だけなので。
また、暗殺とまではいかなくとも、命を賭してまでの気概の政治家が時には国を憂い、時には周りを蹴散らす勢いで国を動かしていきます。
まあ…中には私利私欲が浮き出ている人もいらっしゃいますが。

難しい時代を分かりやすく

高校時代に日本史を専攻していましたが、正直この時代はあまりやった記憶が薄く…。
その理由は色々とあがると思います。
   ・縄文時代からやっていく為、結局時間が足りない
   ・教える教師側が専攻ではない(史学科から先生になる方が多いから、学生時代にメインで研究してた時代はマニアックなほどだった…)
   ・色々とセンシティブすぎてできるだけ避けたいから(あまりよい理由ではないですが…)
まあ、そういった色いろな事が重なって、あまり学ぶことがないといったところでしょうか。。。
だからこそ、こういったコミックなどで学ぶ、ということは大事なのかな、と思いました。
主人公である昭和天皇を劇的に描くために、少々偏っているなあという感じは否めないところもありますが…、それでもこの時なにが起きていたのかがよく描かれているので、時代を感じるにはとてもオススメします。

戦前からそして…

コミックは即位から、一気に陸軍の勢力が強くなってきました。そして関東軍の暴走ともいえる行動…。盧溝橋事件など、一気にきな臭くなってきました。
また、天皇に即位したけれど、跡継ぎとなる親王がいない状態で、その辺りも色々不穏な空気を醸してします。
…まだ今の上皇さまのご誕生前…。
これからを描くのは色々難しいかと思います。
ですが、最後まで…描き切ってほしいですね…。